私は1年半ちょっと在籍した外資系のITコンサルティングファームをまもなく退職します。
短い期間でしたが、外資系企業で良くも悪くも前職の日系企業とは180度違った環境で働けたことは自分のキャリアにおいていい経験となりました。
私は正直この業界をかじった程度で、この場に記載することがもちろん全てではありません。
私の体験が、今後外資系企業やこの業界を志望する人に「こういう企業もあるんだ」という程度の参考にでもなれば幸いです。
- 外資系・コンサル業界で働くことに興味がある
- 外資系・コンサル業界のリアルな一例が聞きたい
- 自分の現在の環境との違いが知りたい
外資系ITコンサルファームへの入社の経緯
私の経歴を始めにざっくり言っておくと、新卒で約3年半SIerに勤めた後、26歳の時からアメリカの大学院に2年ほど留学をしていました。
現在在籍する外資系のITコンサルファームですが、東京で行われた留学生向けのジョブフォーラムで内定をもらいました。
前職のSIerでの経験が直接生きること、また留学期間中のスタートアップでのインターン経験からというのが入社を決めた大きな理由です。
後者については、競合の他のファームに比べて日本参入が遅く、これからという環境にある同社で働くことに特に魅力を感じたのでした。
また、日本にリソースがなく常に海外支社のメンバーと協業する必要があったことも、業務で英語を使いたかった自分にとっては好都合でした。
以下、自分がこの会社に入って衝撃を受けたこと/ネガティブな面と、良かったと思える点について記録を残します。
ショッキングだった外資系内部の実情
この業界に長くいる人からすれば「そんなもんだよ」と言われるかもしれません。
しかし、前職で日系企業だった自分にとっては衝撃だったので、以下3つにまとめて記録しています。
①容赦なく退職勧告が行われる
人の入れ替わりが非常に激しい会社でした。
毎月沢山の人が入ってくる一方抜ける人も後を絶たないため、従業員数は前年からわずかにしか増えません。
まさに穴の空いたバケツに水を注ぎ込み続けるような状況です。
もちろん自分から新たな環境を求めて退職する人も多くいましたが、会社からの容赦ない肩たたきにより退職に追い込まれるケースも多く聞きました。
そのほとんどはプロジェクトベースで大量の人を採用し、そのプロジェクトが終わるとそのメンバーが事実上のお払い箱となるパターンでした。
採用されたのにも関わらず顧客の要件にスキルがマッチせず、アサインされないまま何ヶ月もの間オフィス待機となる人も沢山いました。
挙句の果てに稼働していていないことを理由に退職を勧められる、そしてそれを飲まなければ降格・減給を言い渡されるという状況でした。
もちろん全ての従業員がそのように扱われるわけではないです。
多大なコストをかけて採用した新卒を含む若手は維持費も低くまだスタッフとして雑用の使い道がありました。
一方、スペシャリストとして経験を磨いてきた中堅や歳のいったマネージャーで使い道がない場合に会社は容赦ありませんでした。
②人の育成という発想がない
上記のように、私の会社では自転車操業で人充てすることだけを考えており、企業の最も重要な資産である「人」にフォーカスすることはありませんでした。
目標設定やフィードバックの面談すら形骸化しており、上司から面談設定の声すらかけられない社員も多くいました。
(私は幸運にも良い上司にあたり若手として気に掛けてもらえているほうでした。)
従業員の成長やキャリアを全く考えず、会社が人をコマとして扱う姿を目の当たりにしたことは本当に衝撃的でした。
一方、会社が従業員を雑に扱う分、従業員の会社への帰属意識やチームとしての団結力はとても弱く、組織として回らない状況が明らかでした。
日本だったら完全にブラック企業だと呼ばれそうですが、外資系にそもそもブラックも何もないと割り切り、とりあえず絶望感だけ感じていました。
③「英語を使えないもの勝ち」の外資系企業
外国籍の従業員が半数近くいるにも関わらず、英語を使えない日本人マネジャーが多かったです。
英語ができないことで他の人に余計な作業を発生させていることに気がつかず、当たり前のごとく暮らしていました。
一例として、年に一度のマネジャー研修があります。
海外支社より講師が来て英語で研修を行うのですが、日本支社のマネジャーたちがあまりに英語がわからずテストの合格率がひどい状況でした。
そこで、私を含めた若手メンバーが業務の合間を縫って大量の研修資料の日本語訳をさせられるようなことがありました。
ただでさえ日本にリソースがないグローバルファームのマネジャーが英語を使えない状況を見て、正直この会社はだめだと思わざるを得ませんでした。
逆に、この会社・業界に入って良かったと思える点
この会社・業界に入って良かったと思える点も勿論ありました。
以下3点挙げます。
①優秀な人たちに出会うことができた
基本的に中途採用で構成されている会社なので、他ファームで経験を積んだ優秀な人たちも多くいました。
自分の師匠となる人を見つけて追いかけていければ、かなり力は付きます。
一方、そんな人たちもすぐに辞めてしまうのですが、皆他の有名企業やファームに移っていくケースがほとんどです。
面白いことに、この会社で出会った人たちが他で活躍することが自分は嬉しく、彼らから近況を聞けることが楽しみになっています。
人との出会いはこの会社で得た一番の収穫です。
②再現性ある仕事のスキルを学ぶことができた
クライアントワークにおける姿勢や、どんな仕事にも通じる基本的なスキルを習得することができました。
また、夜な夜な資料を修正して翌朝のお客様との打ち合わせに臨むことも多々ありましたが、今ではいい思い出です。
「PPT内の枠が少しずれているだけでアウト」
正直始めはそんな細かいことどうでもいいと思っていましたが、上司曰くコンサルは究極的には「モノ書き」だそうで妙に納得したのを覚えています。
日常的な訓練を通じて、事業会社にいるだけではわからないであろう感覚・仕事のスキルを得られたことは非常に良かったと感じています。
③他ではできないであろう経験ができた
デリバリー業務に入れない期間も多いため、良くも悪くもほとんど何もわからない新人のうちから営業活動や提案資料作りをする状況でした。
ある意味他ファームではできない経験ができることはプラスになったと思います。
また、ネイティブ相手に英語でがっつりディスカッションやプレゼンできるレベルの人は多くなく、自分が前面に立てたことは逆にラッキーでした。
例えば、複数のプロジェクトにおいて海外支社のシニアディレクターやパートナー企業のトップとの協業を主担当として進める機会がありました。
スタッフながらグローバルプロジェクトを推進することができたのは非常に貴重な経験になりました。
まとめ
私はこの会社・業界に2年も在籍しておらず、全てをわかっている訳ではありません。
あくまで私個人の目から見た記録として参考にしていただければ幸いです。
そして、きっと仕事の本当の面白みが分かるのもこれからだと思うのですが、正直タイミングが全てでこれが結局自分の道だったのだと思います。
キャリアとして選んだ後悔は全くありませんし、上記で述べたように得たものは確かにありました。
この決断に良いも悪いもなく、決断を正しかったものにする行動があるのみだと思っています。
またこれから新たな環境で全力を尽くしていきます。