【実例紹介】英語小説多読の一番の効果はネイティブ表現を学べること

私がこれまで英語力を順調に伸ばしてこれたのは、間違いなく英語小説をひたすら読んでいたおかげです。

TOEICで言えば、610@大学2年→ 720@大学3年 → 775@大学3年 → 870@大学4年 → 945@アメリカ留学中 → 955@現在、といった感じです。

一方、テストスコアが上がることは大事なのですが、実際にネイティブが使う表現を大量にインプットできることがその何よりの効果だと考えています。

私は現在英語小説のおかげで理解できる・自分が使える表現をどんどん増やしています

今回は、テストや教科書にはおそらく出ないものの、英語小説を読んでいると実際に遭遇する「へー」と思う表現の一例についてご紹介します。

英語小説を使い幅広い英語表現を学ぶことで、実践的な英語力は確実に養われます。

こんな人向けの記事
  • 英語小説の多読に興味がある
  • リアルな英語教材で勉強がしたい
  • ネイティブの英語表現を学びたい

 

大学時代英語小説を読んで「へー」と思ったネイティブ表現の例

以下、私が学部生時代に英文学の授業で読んだ作品の中で文法的に面白いと思った・気になった表現の例を挙げます。

実際に読む際は以下の解説に書いてあるようなことは意識はしないと思いますが、経験を重ねるうちに不思議と感覚的に理解できるようになります

各作品毎に、下線部の表現に注目してみてください。

J. R. R. Tolkien, The Lord of the Rings. The Fellowship of the Ring. Del Rey, 458pp.

'What did you blush for, Sam?' said Pippin.

'You soon broke down. Anyone would have thought you had a guilty conscience. I hope it was nothing worse than a wicked plot to steal one of my blankets.'

'I never thought no such thing,' answered Sam, in no mood for jest.

(Book.2, Ch.7, p.401)

  • 否定を意味する「never」があるにもかかわらず、加えて「no」が使われている
  • 古くは二重否定や三重否定は否定の強調を意味していたが、現代でもこの用法で否定の度合いを強調する表現は俗語にはあるらしい
  • ここはまさしくその例で、否定の度合いを強調している

Sidney Sheldon, Master of the Game. Grand Central, 495pp.

Jamie had threatened Van der Merwe, and Van der Merwe had punished him as easily as one punished a small child.

But he'll find out I'm no child, Jamie promised himself. Not anymore. I'm an avenger.

They'll pay. They will pay.

(Ch.3, p.57)

  • 前が短縮形、後が短縮形になってない=「They'll pay」に対して 「They will pay」は一語一語はっきり言っている
  • よって「They'll pay」よりも「They will pay」の方が強い口調で語られた言葉
  • 「彼らは払うだろう」は対価、つまり「仕返し・ひどい目にあうだろう」という意味→ゆっくりと口調を強めて繰り返しているイメージ

Haruki Murakami, Kafka on the Shore. Vintage, 489pp.

"We don't have a lot of time, so let me jump to the conclusion, if you don't mind. What you can do for me is kill me. Take my life, in other words."

Hand resting on the top of his head, Nakata stared at Johnnie Walker for a long time.

"You want Nakata to kill you?"

(Ch.16, p.150)

  • 「kill」の前に「to」が省略されている
  • 「All you have to do is (to) study.」のように 「to」不定詞がくると「to」は通常省略される

Sidney Sheldon, Rage of Angels. Grand Central, 504pp.

"What happened then, Mr Stela?"

"I picked Eddie and Al up and drove 'em to the parkin' lot. Mike was there, waitin'. When the boys got outta the car, I moved outta the way and Mike started blastin'."

"Did you see the Ramos brothers fall to the ground?"

"Yes, sir."

"And they were dead?"

"They sure buried 'em like they was dead."

There was a ripple of sound through the courtroom. Di Silva waited until there was silence.

(Ch.1, p.24)

  • 下線部は普通に考えれば「they were dead」
  • Stelaが教養がないことを感じさせる表現

Gregory Maguire, Wicked. Harper, 519pp.

Gregory Maguire

"Everyone is entitled to an opinion," said the Lion airily.

"She was deprived of a mother's love, is how I've heard it. She was an abused child. She was addicted to medicine for her skin condition."

(Prologue, On the Yellow Brick Road, p.2)

  • 下線部では「that」などを使わずカンマで区切ることによって主語の部分を表している
  • このような言い方の際、「~, is all.」や「~, is all he said.」となる場合が多いが、下線部の例はそれとはまた違った例

Look at me, thought Melena, showing my breasts to the child I couldn't give milk to for fear of amputation. I who was the rose of Nest Hardings, I who was the beauty of my generation! And now I am reduced to company I don't even want, my own squirming thorny little girl.

(Munchkinlanders, The Quadling Glassblower, p.42)

  • 下線部の「who」があることにより、「~だった私!」というような詠嘆の気持ちを表している
  • 現代の一般的な言い方ではカンマを入れた「I, who was」となる

"What's she like?" he said, his face eager and bright. "You must have seen Dorothy too. What's she like, Auntie Witch?"

"Don't you Auntie me, you know that makes me sick."

(The Murder and Its Afterlife, p.495)

  • 「 Mr. Tanaka」のように「Mr.」をつけて相手を呼ぶと、丁寧である一方、自分と相手との間に距離をおいた表現となる
  • 「Mr.」と呼ばれることを嫌う人もいるため、「Don’t Mr. me!」(Mr. 呼ばわりをしないでくれ!)という言い方をすることがある
  • 下線部の表現はその類で、「Auntie呼ばわりしないで」という意味

 

英語小説多読により幅広い表現に触れることで必ず英語力は伸びる

遥か昔の大学時代に上記のようなことについて沢山レポートを書いていました。

もちろんここではさすがに全て紹介できないため、今回は当時先生に解説をいただいたものを参考までにいくつか掲載しました。

結論、英語小説の多読を継続できれば必ず英語力は伸びます

続けるのが大変なのは重々承知ですが、少しずつでも毎日英語を読み、幅広い英語表現に触れることの先に英語力向上があります。

上で紹介した作品も含め私のおすすめ英語小説は以下にまとめているので、興味を持たれた方は是非参考にしてチャレンジしてみてください。

【英語小説多読】TOEICスコア800点超えを実現したおすすめの洋書 【英語小説多読】シドニー・シェルダン小説全18作品制覇への道

 

まとめ

今回は英語小説多読で遭遇するであろう、「へー」という学びのある英語表現の紹介でした。

TOEICなど各種試験対策のためだけに多読をするのであれば、「そんなの知ったことか!」となるかもしれません。

しかし、こういった表現をコツコツ自分の中にインプットしていくことは、実践的な英語力の向上に必ず役に立ちます。

加えて、英語でレベルアップを図るためには一定の量を読むことがどの道必要になります。

どうせ読むなら、楽しみながら続けられる英語小説を教材としてチョイスしてはいかがでしょうか。

コツコツ毎日取り組むことで、単なる試験対策に留まらないバラエティ豊かな英語表現をどんどんと身につけていくことができるのでおすすめです。